FC2ブログ

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

募金のお礼とご報告  高知バリー・ウェッブ Music Project 2016 出逢い・創造・祈り・・・そして希望 

音の文化振興会が後援団体の一つとして協力させていただいた催しについての報告です。

~~~~~~~~

募金のお礼とご報告

高知バリー・ウェッブ Music Project 2016 
出逢い・創造・祈り・・・そして希望 

■公演[A] バリー・ウェッブ「トロンボーン、世界を駆ける!」
(2016年3月15日(火) 高知県立美術館ホール)
■公演[B] バリー・ウェッブ×横山カイン「レクイエム・・・そして永遠の命へ」
(2016年3月18日(金) 日本聖公会高知聖パウロ教会)                  

現代音楽の魅力を伝える音楽団体MUSIC FORでは、
去る2016年3月15日と18日、英国の世界的トロンボーン奏者、Barrie(バリー) Webb(ウェッブ)を迎え、
高知県立美術館ホールと日本聖公会高知聖パウロ教会の2会場でコンサートを開催しました。

この度、企画の趣旨に基づき、
公演[B]の入場料収入の約3割にあたる60,000円と、
両公演で寄せられた募金([A]3,635円、[B]11,815円)の計75,450円を、
日本赤十字社を通して東日本大震災の義援金として寄付させていただきましたので、
ここにご報告させていただきます。

両公演にお越しいただいたお客様、募金に協力してくださった皆様、
趣旨に賛同してくださったすべての方々の温かいご支援に対し、
改めて心より深く感謝申し上げたいと思います。

有難うございました。

MUSIC FOR 主宰
高知大学教育学部准教授 
前田克治


追記 CONCERT REPORT

現代音楽の魅力を伝える音楽団体MUSIC FORでは、去る2016年3月15日と18日、英国の世界的トロンボーン奏者、Barrie(バリー) Webb(ウェッブ)を迎え、高知県立美術館ホールと日本聖公会高知聖パウロ教会の2会場でコンサートを開催しました。筆者とバリーとの出逢いは1999年。作曲家仲間の呼びかけで、全7曲若手邦人トロンボーン・ソロ新作初演作品によるコンサートを大阪と東京で開催したのが最初でした。ステージに立つ時の、彼の恵まれた体躯から発せられるオーラと繊細にして豊饒な楽器の響き、超絶技巧による圧倒的なパフォーマンスもさることながら、譜面から音楽の深淵に分け入ろうとする時の哲学者の如き透徹した眼差し、日常のケアに始まるアスリートの如き完璧なまでの心身のコントロールを目の当たりにし、深く感銘を受けたものでした。それ以来、新たなコラボレーションの機会を探っていましたが、今回、多くの皆さまのご協力を得て、何と17年越しに本格的なコンサートの開催を、しかも、この高知で実現させることができました。

さて、2つの公演は、全く指向性を異にしています。
まず、県立美術館での公演[A]は、世界を股にかけて活躍するウェッブが、タイトルの通り、ヨーロッパ各国、アメリカ、オーストラリア、そして日本と、まさに音楽で世界を駆け巡る趣向。ジャンルは、先鋭的な邦人や海外作品、ロマン派・近代歌曲のトロンボーンアレンジ、民謡、ポピュラー、さらにはエレクトロニクス音響を交えたものやシアトリカルなパフォーマンス作品と、何ともカラフルでヴァラエティに富み、彼の演奏家としての優れた嗅覚と、ある種のサービス精神が前面に出た、トロンボーンの可能性を汲み尽くしたプログラムでした。
お客様は、オリジナルモデルの赤いトロンボーン、そして様々な種類のミュート(弱音器・・・ベルの部分に取り付けて音色を変える)に興味津々、声や倍音、グリッサンド、ヴィブラート等の多彩な響きに驚嘆。客席の間を奏者が歩いたり、楽器を分解してみたり、ピアノの弦をひっかいてみたり、予測を超えたスリリングな瞬間の連続に戸惑ったり、あっけに取られる場面もありましたが、曲が進むほどに次第に固定観念から解放され、多様な響きや音の身振り、身体性そのものを純粋に楽しまれていったようでした。コンテンポラリー(現代作品)は初めてという方が多かったにも関わらず、真剣にメッセージを受け止めようとしてくださったのは、おそらく、どのようなタイプの音楽においても、技巧にも情緒にも偏らないバリー・ウェッブの確かな解釈と豊かな音楽性の裏付けがあったからこそ。さらには、プログラミングの妙。クラシックやジャズ、ポピュラー、世界の民謡と現代音楽と並置することによって、現代作品の持つエネルギーや多様な感性を、逆に言えば、伝統的な調性音楽の意味とその魅力を再認識することが出来たのではないかと思います。そこに、百戦錬磨の彼ならではの巧妙な計画があったことは言うまでもありません。
かくして、バリーが伝説的道化師に扮するベリオ「セクエンツァⅤ」では、絶妙な間に笑いが巻き起こり、アンコールオペラ座の怪人からの「All I ask of you」では、トロンボーンデュオとピアノの美しいハーモニーに、会場から思わずため息が漏れました。ピアノの槫谷静香の切れのある美しいタッチとアンサンブルでの適切なサポート、トロンボーンの梶原彰人の確かな技巧による端正な演奏も実に見事で、このコンサートに花を添えました。

東日本大震災チャリティバリ 縮小


対して、高知聖パウロ教会での公演[B]は、東日本大震災5周年メモリアルのチャリティコンサート。プログラムの柱は、震災犠牲者に捧げる創作期間4年、演奏時間50分を要する横山カイン渾身の作、トロンボーン・ソロのための「レクイエム・・・そして永遠の命へ」。他は、ヴァイオリンに立花礼子、チェロに山根風仁を迎えて邦人新作2曲、バッハの無伴奏作品2曲と、全て独奏楽器のための珍しいプログラム。東西、新旧の祈りの音楽による一切妥協のない重厚な内容でした。それは、演奏会というより音楽による集い、あるいはセレモニーと言う方が正しかったかもしれません。
公演当日は、あいにくの雨。遮音性、遮光性の点では不利な会場であるにもかかわらず、そこはやはり、教会という場の持つ独特の力。薄暗い空間に浮かび上がる幻想的なシルエット。光と翳。雨、木、土の匂い。満員のお客様は、最初のバッハの「シャコンヌ」(無伴奏ヴァイオリンパルティータ第2番より)から、空間と音楽と演奏する身体が一体となって醸し出す厳粛な佇まいに一気に引き込まれていきました。前田克治のチェロソロのための「エピタフ(墓碑銘)」、中村寛のヴァイオリンソロのための「よどみつ ながれつ」という二つの新作がこれに続き、前半最後の作品、再びバッハの「サラバンド」(無伴奏チェロ組曲から)が奏でられる頃には、いつの間にか辺りはすっかり闇に。聖堂内は、雨音さえもそれを引き立てるための手段というように、異様な静けさと緊張感に満たされていました。立花、山根両氏は、古典と現代のアプローチの全く異なる難曲に真正面から対峙し、作品(作曲家)の精神世界を、深い共感と瑞々しい感性で描き出しました。

縮小バイオリン

hiasi.jpg

休憩をはさみ、満を持してバリー・ウェッブの登場。横山の作品は、通常のレクイエムの形式に則ってはいるものの、そこにはメロディもラテン語の歌詞も存在しません。痛み、叫び、祈り・・・瞬間々々に生成されては消えていく―音楽たる以前の―剥き出しの音たちが、ダイレクトに聴く者の感性を揺さぶり、魂をうち振るわせていきます。何という強度。肉体と精神の極限に挑戦したこの比類ない作品を、バリーは、完全に手中に収め、終始、ダイナミックな構成力と圧巻のテクニックで演奏し切りました。

バリーさん縮小 (全ての撮影:児玉夏子)

2時間20分にも及んだこの夜のプログラムは、演奏家、聴き手双方にとって、決して楽な内容ではありませんでしたが(時に、苦痛ですらあるかもしれません)、お客様、しかも必ずしも音楽畑とは限らない方々がここまで集中力を切らさず聴いて下さったことは、正直、私自身も想像できませんでした。何より、世代、職種も違う多くの方々と音楽を通して祈り、思いを共有できたことは、かけがえのない財産となりました。

今回のプロジェクトは、(公財)高知新聞厚生文化事業団の助成を受け、高知県立美術館、日本聖公会高知聖パウロ教会の共催事業として開催されました。スタッフは、主に高知大学教育学部学生が担当し、運営全般を作曲・管楽器研究室が請け負い、通訳を英語教育研究室学生が担当、チラシ、チケットをデザイン研究室学生が制作する等、分野の垣根を越えた協力体制が敷かれました。これにより、リハーサルや本番を通して一流の演奏に身近に接する機会を設けるとともに、大学教育と連動してのアート・マネージメント、地域協働活動への参加が図られました。
そんな中、具体的成果としては、2つの公演を通して延べ216名(公演[A] 132名、公演[B] 84名)ものお客様がお越しくださいました。入場者の居住エリアは、東京、関西や、愛媛県、香川県、幡多郡等にも及び、企画のクオリティ、希少性が認知されたと言えます。両公演でのアンケートにも多くの方がご回答いただき、有効回答(無回答除く)のうち「よかった」以上が99%、「とてもよかった」は72%と極めて高評価で、「味わったことのない体験」「(コンサート前と)違う自分のよう」「表現の豊かさに感動」「バリーさんの心(人柄)を感じた」「企画が素晴らしかった」といった感想が寄せられました。ただ、著名アーティストのライブやクラシックの名曲を聴くのと違い、演奏家や作品の魅力を伝えるのは難しく、広報面では課題も残りました。もちろん、この手のジャンルとしては、まずまず及第点ではあるのですが・・・。作曲家が音楽で語るのは当然ですが、現代を生きる芸術家としては、もちろん、それだけで十分役割を果たしているとは言えません。また、私は、大学人として、地域の要請に応じた社会・教育活動も大切にしていますが、それも多くの活動のひとつにすぎません。社会に、若い人たちに強いメッセージを発していくには、創作と連動したこうしたプロデュース活動を通して、より総合的な表現のあり方を目指していく必要があります。そして、ありとあらゆる情報が集中しているけれどもマーケットの細分化、個別化が顕著な東京のような場所とはまた違った大きな可能性が、まだまだこの小さな地方都市にはあると、私は考えているのです。今回の企画は、あくまでもそういった試みの途上ですが、プロジェクトの副題「出逢い・創造・祈り・・・そして希望」の通り、音楽の創作、演奏を通じ、国際地域間を含めた人々をつなぎ、未来をはぐくむ若い世代の感性の育成、県民の芸術文化意識の高揚を促し、さらに、地域、文化の枠を超えて、祈りを通して、困難から未来への希望を創出していくという目的(欲張りでしょうか!)を、ある程度、果たせたのではないかと考えております。

最後に、ご報告とお礼です。この度、企画の趣旨に基づき、公演[B]の入場料収入の約3割にあたる60,000円と、両公演で寄せられた募金([A]3,635円、[B]11,815円)の計75,450円を、日本赤十字社を通して東日本大震災の義援金として寄付させていただきました。両公演にお越しいただいたお客様、募金に協力してくださった皆様、協賛、後援各社様、他、本当は個人名も沢山挙げたいのですが、趣旨に賛同してくださったすべての方々の温かいご支援に対し、改めて心より深く感謝申し上げたいと思います。殊に、広報をはじめ全面的にバックアップくださり、またこのような報告の機会をいただきましたNPO法人こうち音の文化振興財団様、本当に有難うございました。

比較的身近で触れる機会の多い現代美術、ある程度土壌のあるコンテンポラリーダンスと比較しても、現代音楽の分野は、これまで高知で不毛であったと言ってもよいでしょう。しかし、同時代の生きた音楽、それが訴える声に耳を傾けること、これほど刺激的なことはありません。MUSIC FORは、今後も、これまでにないユニークで、質の高い企画を、高知の方々に提供できるよう挑戦を続けて参ります。皆様、どうぞよろしくお願い申し上げます。

MUSIC FOR 主宰
高知大学教育学部准教授 
前田克治

コメントの投稿

非公開コメント

こうち音の文化振興会とは?
「演奏家」と「依頼者」をつなぐ機関です。 2009年5月、活動開始しました。 詳しくは、ウェブサイトをご覧下さい。

こうち音の文化振興会

Author:こうち音の文化振興会
FC2ブログへようこそ!

カテゴリ
最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QRコード
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。